読書「フーガはユーガ(伊坂幸太郎)」

読書(小説)

 

表紙にサブタイトルが英語で書いてある。

「Twins Teleport Tale」意訳すると「双子の瞬間移動の物語」にでもなるだろう。そう、これは双子がある条件下で間移動して身体が入れ替わる物語。

物語は双子の片割れが、幼少期からの家庭環境から始まって大人になるまでの入れ替わり経験を、あるテレビの映像ディレクターに語っていく。

その物語は一部に「嘘や矛盾」が含まれていると話しいるが、それが何なのか、なぜわざとそんなことをするのか、は謎のままである。

終盤、それまで語ってきた彼の半生のピースがカチっとハマるように組み上げられていくのは、相変わらずの怒涛の伊坂ワールドである。

父親、映像ディレクター、双子の弟、その彼女、同級生など人の輪が圧倒的な繋がりを持って連鎖反応を起こして迫ってくる。

人はどこまで残虐になれるのか、人はどこまで他人を信じていられるのか、過去の自分の行為で喉に刺さった小骨を取り除くことはできるのか。

幼児虐待や男児誘拐の話なんかが出てくるので、その辺に嫌悪感を持つ人にはおすすめできない。ただ、世の中には普通に生きているだけなのに、底抜けの悪意をぶつけてくる人間がいることは知っておく必要があるのだろう。そして、物語はそんな悪意から逃げて生きる術をどうやって獲得するのかというテーマが隠されている気がする。

物語の最後は少しだけ物悲しくも、次の世代へ続いて行きそうなのが救いといえば救いか。

そういや、物語の途中ででてきた「隻腕の凄腕ボーリングプレーヤー」はきっと砂漠に出てきた彼なんだろうな。物語の重要な部分ではないけれど、クスっとしてしまう伊坂仙台ワールドも探すのもちょっとした楽しみである。

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