読書「ホワイトラビット」伊坂幸太郎

読書(小説)
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今度は誘拐立てこもり犯の物語。もちろん舞台は仙台。

でも、ただの誘拐立てこもり事件じゃない。そもそも登場人物や関連人物がみんな揃いも揃って普通じゃない。なにがどうなったらこんな複雑なことが起こっちゃうの?という奇想天外ストーリーは伊坂幸太郎さん毎度おなじみの筋書き。

立てこもりの主犯は犯罪組織の一員だがボスから脅されている。

立てこもられた側の家族は日々父親の暴力に悩んでいる。

でも、立てこもり犯に見つかった父親らしき人物は、実は父親じゃなく、主犯とは異なる犯罪組織での活動中にやむを得ない事情で忍び込んだところ見つかってしまった。

つまり、立てこもっている4人がそもそも何の繋がりもなかったはずなのに、偶然が偶然を呼んでそうなっちゃった、みたいな感じのすったもんだ。

一方、取り囲む側の警察のリーダー格にも人生で一苦労あり。妻と娘を同時に交通事故で亡くしていた。車を運転していた老婆は、ある占い師にあることないこと吹き込まれたあげくに金を巻き上げられて動揺していたという。

ああ、なんかみんな闇を抱え過ぎである。

うまく行かない人生だけど、どうやって切り抜けて生きていこうか。なにも悪いことしないで生きてきたのにどうしてこんなことになるんだろうか。

そんなつらい人生、でも、機転とほんの少しの勇気で困難な局面も乗り越えられるかもしれない。

すべてが順風満帆になんて行かないけれど、希望を忘れずに生きていければいいものである。

何も関係のない人に突然向けられる悪意に対して、無防備な我々はどう立ち向かっていけばいいのだろう。物語は最後に正義が勝つ的な展開だったけど、そのまま対抗できず悪意に打ちのめされてしまうこともあるのだろうな。

と思うと、人生とは相変わらず大変なものである。

この物語の中で、唯一考え方や生き方に共感できるのは警察側の夏野目係長だけである。あとは何をどう取り繕ってもクズだらけ、というお話でした。