読書「偏差値70からの甲子園(松永多佳倫)」にみる理想の育児

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高校野球の強豪校というと、古くはPL学園や帝京高校、最近では大阪桐蔭や横浜高校など基本的に私立高校が多い。

ボーイズやシニアリーグで日本代表や地区代表となるような選手を越境して集め、まるでプロ野球選手育成コースのように野球をやっている。

もちろん、親元を離れて寮に入り、野球一筋の生活をこなすことは並大抵ではなく、その覚悟や練習量は凄まじいものなのであろう。

でも、勉強もしないで野球しかやっていない高校生…という色眼鏡で見てしまうのは仕方のないことなのかもしれない。

本書ではそんな私立の野球エリート校と正反対に位置する県立進学校にして野球強豪校へのインタビューを複数まとめたもの。

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県立進学校野球部の練習時間は短く効率的

松山東、済々黌、滋賀東などの県立進学校が、なぜ県大会上位の常連校や甲子園出場を果たすことができるのか。監督や選手へのインタビューから構成されている。

どの学校でも共通しているのが練習時間の短さ。学校によってはグランドも狭いどころかグランドを転々としながら練習をしている。

それなのに、どうして結果がついてくるのか。

答えは簡単。どの学校でも極めて効率的に練習をしているから。そして選手自身が考えているから。

すでにPDCAを回す習慣がある

時間が短く、恵まれない環境でどうやったら結果を出すことができるのか。言い訳をせずに出来ることを確実にやっていく。

失敗したり結果が出なければ、どこに問題があったのか、どのように改善すればいいのか、もっと良くするにはどうすればいいのか。ということを常に考えているからなのだ。

これは社会人になって仕事をするようになってからでも当然求められるスキルであり、これを高校生の時からやっているのかと思うと驚愕である。

やはり偏差値が高い学生は違うな…

と思っても、では、すべての高偏差値の学校が野球が強いのかと言うと、当然そんなことはない。

しかし、やはり開成高校野球部の物語である「弱くても勝てます」でも同じように徹底的にやるべきことを絞って効率化することで、結果として勝つということを目指しているチームもあることから、やはり賢いこととスポーツには関係があるのかもしれない。

高偏差値学生の良さは飲み込みの早さ

本書の中でも「教えたことの理解や飲み込みは早い」と監督が答えているシーンもあるほどだからである。

仕事をしていても、高学歴の人と話すほうが、話が伝わりやすいのは実感するところである。

「そこから説明が必要なのか…」という時間がないのだろう。

ただ、飲み込みが早いと言うだけで勝てるほどスポーツの世界は甘くない。最後はどんな場面でも頭より先に身体が反応するように「身体で覚える」ことが必要で、そのために練習を繰り返すのが一般的である。

だが、時間がない

部活の練習時間が短いのはもちろん、帰宅後も難関大学を目指して勉強しなくてはならない。食事と睡眠時間は体を作る大切な行為なので削れない。

もう社会人になっている大人より時間がない

全部できないのであれば、できる部分を徹底的に効率化していく。

最終的にはこの答えになるのであろう。

他人に感謝する心を育てる教育を

それにしても、どうやったらこんな子どもに育てられるのだろう、と本書を読んだ親であれば皆が思うことであろう。

さすがに親へのインタビューは出ていないが、選手へのインタビューからある程度、家庭での親の方針が見えてくる。

それによると、「勉強しろとあまり言われてない」「弁当を作ってもらったり自由にさせてもらって感謝している」というコメントが沢山出てくるのだ。

ここから浮かんでくるのは、子どもがやりたいことをやらせる環境を作る、親はあまり口出ししない、勉強すること自体の意味や面白さを教える、他人への感謝の心を忘れさせない、という教育が大切なのではないだろうか。

特に野球は9人でやる団体スポーツである。たった一人が強くてもチームでは勝てない。つまり、他人に感謝することができないチームは結果的に勝てない

これがテニスや卓球などの個人スポーツでは話が変わる。だからこそ、他人に感謝する気持ちが生まれてくる。

これは高学歴の人たちにある意味課せられた社会での役割なのである。自己のためでなく他人のため、社会のために。それを自ずと学べるのがスポーツなのかもしれない。

しかし、そうは言っても、やはり子どもの行動には口を出してしまうである。この辺りがダメ親なのだろうかと、この手の本を読んだら思ってしまう。

正直、くだらない育児本や受験メソッド本を読むのであれば、この本を読んだ方が良いだろう。

そもそも親が自分の子への教育を考えられないのに、子どもが自律して他人に感謝することを植え付けるなんて無理なのではないだろうか。

親が勉強することの意味をきちんと捉え、努力することで何かを実現することの大切さを教えられるようになることが大切なのだろう。

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