読書「弱くても勝てるんです」に学生スポーツの原点を見た

東京、いや、全国屈指の進学校として有名な私立開成高校。

開成中学校・高等学校公式サイト

「ペンは剣より強し」を形にした校章を山の手線内で見ると、どんな頭脳をしているのだろうと思ったものです。

そしで、どうせ勉強ばっかりしていて運動なんてできないヤツらばかりなんだろう、という世間の評判を裏切り、実は野球部は都大会ベスト16まで進んだこともあるというから驚きである。

運動神経もない、練習時間もない、専用グラウンドもない、そんな「ないない」尽くしの彼らはいかにして勝てる部になったのか。その密着取材の実話である。

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規格外の生徒たちと弱者の戦略

色んなことが規格外である。ただし後ろの方に。

そもそもまともにキャッチボールできないゴロはトンネルフライはバンザイ。そんな守備で勝てるわけがない、と思ってしまうが勝ってしまう。

なんと守備に関しては「エラーして当たり前たと思ってる」と割り切っているのである。ではどうするのか、と言うと答えは攻撃一辺倒。

そう、短い練習時間や部員の運動神経を考慮して編み出された秘策は「とにかく打ってドサクサに紛れて勝つ」という戦法。

打撃には好不調の波があるが、守備には波がない。だから守備を鍛えることが勝つチーム作りの基本である。

というのと真逆に行く。

なぜなら、彼らは運動神経がないし練習時間もないから。

運動神経というもの

運動神経が良い人というのは、頭である程度理解できたら、言われたとおりに身体を動かすことができる

スポーツの練習は頭で考える前に身体が反応できるようになるためにやるものだ、と思っていたが、そもそも頭で納得しないと練習はおろか身体の動かし方を理解できないのである。そして、自分で理解できて初めて身体に細かい指令を送る

高校生、いや小学生でも野球するときに、こんなこと考えてる人いないだろ、という台詞ばかりなのである。もうここだけをまとめただけで、一冊できるんじゃないかと思うほど。

守備は相手が打った球に反応する必要があり、どうしても受け身になってしまう。打球の速度、ゴロのバウンド、フライの角度と風向きなどなど、これらを身体だけで反応して取るには運動神経も身体が覚える練習時間もないのである。

だから、守備はエラーするので失点する。だからひたすら打つ。相手も高校生、四球もあればエラーもある。そして、そもそも野球は3割打てればすごいのだから、思い切り振ってれば何かが起こる。

そんなポリシーなのである。

そして、それがハマると勝つ。

負けたときの悪夢感

負けた方にとっては悪夢であろう。勉強しかできないと思ってた開成高校に野球で負けるのである。しかも見た目はひ弱で運動神経なさそうな人たち。

勉強も野球も負けた俺の人生って…と心が折れてしまいそうな相手が心配である。

兵庫県大会で灘高校や甲陽学院高校の行く末が気になってしまうのと同じように、開成高校の勝ち残り方にも注目していきたいのです。

野球はそもそも楽しいものである。守備よりも攻撃の方が楽しいという人は多いはず。その原点に立ち戻って勝ち進む開成高校。なんだか学生スポーツの原点を見た気がする。

勝利至上主義もいいけれど、そもそもスポーツって何だったっけ。厳しくすることだけが部活じゃない、そんなことを気づかせてくれる一冊でした。