読書:ときどき旅に出るカフェ〜旅に出た気分になれるスイーツに少しのミステリー(近藤史恵)

読書(小説)

主人公は独身アラフォーの女性会社員。あるとき家の近所で見かけた新しいカフェに入ってみると、そこは会社を辞めた後輩がオーナーだった。

カフェに出てくる飲み物やスイーツは、オーナー本人が実際に旅先で口に入れた物たち。日本のカフェにいながら旅に出たような気分になれる、そんな素敵なカフェなのである。

主人公やカフェオーナーが様々な客と出会い、飲み物やスイーツがキッカケとなってちょっとした謎が解けていく。そんなショートストーリーが集まった短編集。

居心地が良く、飲み物や食べ物が自分の趣味に合うカフェと出会える確率ってどんなものだろうか。少なくとも自分にはそんなカフェやバーはないので、きっと低いのだと思いたいが、その手のものがある人を羨ましく思う。

で、この話にはロシアやオーストリアなど様々な国のスイーツや飲み物が出てくるのだが、特にスイーツ好きでもない自分は見たことも食べたこともないとのばかり。でも、不思議と読んでいると食べたくなってしまうのだから困ったものである。

いったいどこに行けば食べられるのだろうか。特にロシア風ツップフクーヘンが気になって仕方ない。店に行って舌を噛まずに発音できるか分からない、不思議な商品名なのですが。そういえばロシア出張の案件があったな、とよこしまな気持ちで出張に行こうかどうか考えてしまう程度には影響力のあるお菓子である。

短編ストーリーの中にちょちょこと入っているの謎解きミステリーの部分は近藤史恵の真骨頂か。サクリファイスシリーズからの伝統でもある伏線の引き方と回収の仕方が見事としかいいようがない。少しだけヒントが入っているんだけれど、すっと読むだけでは見落としてしまうことばかり。

その小さな隙から答えを見つけるのも楽しいものである。男が入り込めない女子独特のふわふわした世界観の中にちょっとだけミステリー。

芯が強い女性たちの生き方には美味しいカフェがあるんだろうな、と少しだけ女子の花園を覗いた気分になったのでした。

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