【読書】FACTFULLNESSファクトフルネス(ハンス・ロスリング)

昨年くらいに話題になったFACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 [ ハンス・ロスリング ]をようやく読了。

平たく言うと、思い込みや本能で判断せず事実(FACT)をベースに物事を議論して前に進めて行きましょう、ということ。自分の思い込みは過去学生時代に習得した知識がベースになって止まっていることも多く、日々の情報や各種本能からどうしても歪んだ情報を真実だと受け止めてしまう可能性がある。

推奨されていることは理想的だ。すべての人が事実をベースに理性的に話を進められるなら、きっと世の中はもっと良くなっている。しかし、事実を知らない人もいれば、分かっていて自分の利益のためには黙ったり歪曲する人もいるのが実際だろう。

人は何かを解決したり考えたりするときに、当然ながら自分は何らかの利益団体の代表である。それは組織のこともあれば、個人的なことかもしれないが、何らかの利益を守ることは必要なのだ。

乳幼児死亡率は減り、平均寿命は延び、飢餓による死亡者数は減っている。これだけを見ても世界全体はきっと良くなっている。人が生きる上で死の恐怖から完全に逃げることはできないが、明日のことを心配しなくてもよくなるのは素晴らしいことのはずであだ。

マクロ視点ではよくなっていても、ミクロ視点で自分自身にフォーカスするとすべてが良くなっている訳ではない。それは「昔はよかった」症候群かもしれないし、思い出が美化されているだけかもしれない。

しかし、少なくとも30年前の日本は気候が穏やかで四季があり、夏がここまで酷暑だったことはなかった。人が飢餓から救われて寿命が伸びたが、地球温暖化は進んだ。果たして本当にそれが良いことかどうかと言われると謎である。

また、コンピュータとインターネットは働き方を含めて様々なことを変えた。その結果、24時間電話やメールは届き、常にプレッシャーと戦う働き方をするようになった。これが果たして人間にとって幸せな生き方なのかどうか、と問われると悩ましい。

飛行機のおかげで簡単に海外へ出張できるようになり、そのさなかでも容赦なく電話とメールが届き、すべてを即レスポンスで要求される働き方は肉体にも精神にも苦痛を伴う。飛行機や電機の発明は人間の生活を便利にした反面、本来の生物としての人間の生き方からは大きくかけ離れている気がする。

また、本書でも今後の世界が直面するリスクの一つとして「感染症の拡大」を挙げている。このリスクが新型コロナウィルス感染拡大前に予見されていたのは流石である。国と国の分断をあおり、WHO世界保健機関の信用が失墜し、消費経済がストップする事態になっている。やはり人類は疫病との戦いから逃げることはできないのだろう。

「世界を正しく見る」というのは簡単なようで難しく、どうしても自分の中でも学生時代に教科書で学んだことがベースになってしまう。それから数十年経過しているのだから世の中は変わっていて当然なのである。しかし、その知識をアップデートする習慣や時間があったかと言われると、なかったという回答になる。

では、これからどうするかと問われると、何かを調べたり考えたりするときに、昔のイメージで話すのではなく、その時その時に最新の情報を信頼できる機関から取り寄せて注意深く読み取ることなのだろう。しかし、その「最新の信頼できる情報」がどこにあるのか、ということを知らないと偏ったメディアの情報を鵜呑みにすることになる。

いま、すべての情報を最新にアップデートして頭の中に詰め込むのは非現実的だ。なので、「どこに」最新の信頼できる情報があるのか、ということを知っておくことが大切だ。それは、国連だったり国の機関だったりするのだろうが、そうなると日本語だけでなく英語で情報を収集できる能力が必須ということになる。

なお、著者はスウェーデンの方とのことで、国のイメージとしてはIKEAとVolvo(もう中国資本だけど)だった。しかし、最近ではグレタさんやコロナ対策でロックダウンせずに経済を回してみたら死亡率が周辺国より高くて経済もマイナスだったという、なんともファクトに基づかないことをやる国、というイメージになっているのが皮肉だ。


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