【読書】「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ(辻村深月)」女性同士のマウンティングの醜さと親の愛情と

山梨の農家で女性の刺殺死体が発見された。包丁には娘の指紋がついており、銀行の監視カメラで親のキャッシュカードから現金を引き落としていることが確認された。娘は行方不明で警察が行方を追っている。

娘が母親を刺殺して逃亡中のシチュエーションだが、そのニュースを見た幼馴染が「あること」に気付いて捜索を始める。なぜ母親を刺したのか、なぜ逃げているのか、なんとなくその理由と逃亡先が分かるので追いかけていく。

ただ、そもそも素人探偵主人公と逃亡娘は現在の置かれた環境が違う。主人公は田舎の山梨をほぼ捨てて東京の大学を出て東京で結婚している。一方、逃亡娘はずっと山梨から出ることもなく過ごしている。

逃亡の理由や足取りを確かめるため、かつての友人や職場の同僚に話を聞きこみまわると、そこに現れるのは執拗な自己評価と他人を見下す評価のオンパレード。

ああ、女性のマウンティング合戦もここに極まりという感じである。だが、聞いてみると、そんなもんがマウンティングの理由になって勝敗が決まるのか?という些細なレベルの話ばかりである。

しかし、田舎で友人関係が密接で他に娯楽もない状況であれば、その小さな世界の中でいかに自分が優位であるかを他人に示すことが生存戦略として正しいのかもしれない。読んでいて反吐が出そうになるけれど。

でも、結局この逃亡娘の人生を狂わせてしまったのは男。その男を紹介してしまったのは主人公の素人探偵。だから負い目と逃亡理由が想像できてのだろうけど、まあそれにしてもクズ男設定である。

最後、読者はタイトルの「ゼロ、ナナ、ゼロ、ハチ」の意味を知る。

親とはいつも子のことを考えているものなのだ。ただ、それが相手にとってどう映るのかは別の話なのである。

一人の子の親として、どう自分の考えを子に伝えることができるのか、子の意思をどこまで汲み取って将来に導いてあげることができるのか。親の心子知らずとはよく言ったものであるが、同様に親離れ子離れをどれだけ上手くできるのか。

そう、この物語のテーマの一つは、親離れ子離れなのではないかと思うのであった。

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